コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

シン・新宿

四谷三丁目近くにある「新宿歴史博物館」に立ち寄り。ここにある、今の四谷四丁目から新宿三丁目あたりにかつて広がっていた宿場町「内藤新宿」のジオラマを見に来たのだが、今の景色と重ね合わせると思った以上にグッときた。

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上の1枚目写真の奥が四谷、手前のT字路が新宿三丁目交差点で、右は甲州街道、下は青梅街道。‬玉川上水が流れているのもポイント。

 

新宿区がまだ淀橋区などだったころのことから、都電の路線図、新宿区に住んだことのある文化人の紹介、さらに企画展では尾張徳川家戸山屋敷の展示もあり、アレコレ意外に充実。
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圧倒的……北斎!

3月14日に見てきたログその3。森アーツセンターギャラリーの「新・北斎展」。

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圧倒された。作品そのものの魅力はもちろん、その点数も、描くものの幅広さも、そしてその生き様も。

 

鶏の足に朱肉を付けて紙上を歩かせ紅葉を作ったというエピソードに、ある意味画材だよなとか感じ、その自由さにも圧倒される。

 

富嶽三十六景にも圧倒されたが、その中で最も著名な「神奈川沖浪裏」は、他のと見比べると素人にも分かるほどに、これだけおかしい。なんでこんな一瞬が切り取れて版画に出来るんだ。圧倒of圧倒。

 

88歳で没する直前、「あと10年、いや5年あれば本物の絵師になれる」と言ったらしい。何その圧倒。

 

圧倒と言いたいだけ感あるけど、実際とにかく圧倒されまくったのだ。

神具日本刀〜神に捧げた刀―神と刀の二千年―

3月14日に見てきたログその2。國學院大學博物館の「神に捧げた刀―神と刀の二千年―」。

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武器ではなく神具としての日本刀の側面を掘り下げた展示で、狭いスペースながらも、弥生時代あたりからの流れを簡単に概括できたのは面白く、展示されている刀身の美しさも見惚れるほどだった。

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でも!それ以上にこの博物館の常設展示が、予想外のボリュームでびっくり!日本の政治&宗教、すなわち「政(まつりごと)」についての展示物や解説が充実していて、なるほど國學院の名は伊達じゃない。
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ここはまた時間作って見に来たいレベル。とりま石清水八幡宮の石清水祭りに行きたいメモ。

 

アヴァンギャルド江戸〜奇想の系譜展

こないだ(3月14日)行った美術展3展の備忘録その1、東京都美術館の「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」。

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江戸時代にその言葉があれば“アヴァンギャルド”と呼ばれたであろう絵師とその作品の集合展。伊藤若冲歌川国芳なんかは見たことあったけど、8人もいるとそのボリュームに圧倒される。

 

各作家には、格闘家のようなキャッチコピーが付いていて(「幻想の博物誌 伊藤若冲」みたいな)、これが中々に作品を上手く表している。若冲国芳は今更感あるので、他の作家の気になった点をメモ。

 

‪“醒めたグロテスク‬”曽我蕭白の作品は、線の強弱にも特徴を感じるが、何より目がおかしい。故に解説のサイケデリックという評にも納得感。

 

“京のエンターテイナー”長沢芦雪の作品は、大胆な構図がすごく、表情の作りが特徴的。溢れる個性はエンターテイナーとの呼称に相応しい。

 

“執念のドラマ”岩佐又兵衛の作品は煌びやか。金と銀を多用し派手な色遣いで彩られた絵巻や屏風は、部屋にあったら落ち着かないだろうなぁ。

 

狩野派きっての知性派”狩野山雪の作品は、如何にもな狩野派の特色だが、幾何学的な構図と聞いて意識すると得心の作品。屏風が特に良い。

 

“奇想の起爆剤白隠慧鶴の作品は、線、筆使い、構図と、とにかくユーモラス。発想が自由なんだろうなという部分と、記号化している部分、それぞれの個性が光る。

 

“江戸琳派の奇才”鈴木其一の作品は、デザイン的というか、デザインセンスに似たものが光ってた。

 

とまぁ、素人が好き勝手に印象を書き連ねてみたけど、どれも、なんとなくちょっと軸をずらした感のある作品ばかり。掘り下げてもっと見たくなった作家もあり、大変楽しかった。

 

最後の間にあった横尾忠則のコラージュ画が、シュールレアリズムの極みのようで、これもまた奇想。

 

 

東京都美術館で併催されてた「ガラス教育機関合同作品展」も鑑賞。美大とかの学生さんの作品が展示されてて、綺麗なもの、一風変わったものと、なかなかに楽しめた。

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本気で遊んだグラフィック

そのまま銀座で「ggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)」訪問。DNPがやってる無料のミュージアムで、今の展示はニューヨークを拠点に活動するグラフィックデザイナー、ポール・シェアの「シリアス・プレイ」ーー本気で遊ぶ。

 

まず入ってすぐの、世界中の地図をタイポグラフィした作品がインパクト。東京のものもあったけど、まぁ多少位置関係がおかしいのはご愛嬌。とにかく書き込みがすごい。

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地下では様々なクライアントのデザインが飾られているが、このカンパニーロゴもか!ってのもあり面白い。

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ポスターも面白いけど、数字をデザイン化したものが趣き深くて良かった。

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現美新幹線、乗ってみた

越後湯沢と新潟間を走る「世界最速芸術鑑賞」こと現美新幹線。2月17日に乗ってきた。

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てっきり指定席だけだと思ってたんだけど、むしろギャラリー車両は自由席で、その座席もソファーふうで面白い。単にこの時間が都合良くて乗っただけの人はどんな気持ちなんだろ?

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6両全て、異なる作家による様々な趣向が施され(なお外装は蜷川実花氏による長岡花火モチーフ)、それは逆に言うと、美術館や企画展としての統一感がゼロで、むしろアートフェスを見に行く感覚に近い。現代アートプラレールと映像と写真が入り乱れるのは是非があろうが、ワシももちろん是。

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そんな中一番気に入ったのは12号車の、片面が鏡面ステンレスの車両。反対側の窓から入ってくる風景が、凹凸に曇りもある鏡に映り込み、車窓を見る感覚を一変させる。これぞ新幹線に乗ってるからこそだし、この視点をずらして見られる風景は大変面白い。

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カフェには、好きな新潟のワイナリー「カーヴドッチ」のお酒も並び、ビール片手に時速200km超で雪の中や新潟平野の枯れた緑の中を走り抜けていく体験は、やはり面白かった。東京にも走りに来てくれないかな。やはり混むかなぁ。

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雪と白と本

大地の芸術祭で何度も来ている新潟県はまつだいだけど、雪に覆われている「農舞台」を見るのは初めてかも。道も、草間彌生氏の作品も埋もれた中、静かに開かれている「アート/ブックのとても大きな部屋:読む・作る・考える」を見てきた。

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まずは白い表紙の本が並ぶ本棚。雪を思わせる棚だけど、白にも色々あるなぁと思う。
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メイン展示という「松代/妻有 バナキュラー・ブック・リサーチ」は、地元の方の作ったり語った内容の本。「バナキュラー」ってのは「土着の」とか「その土地固有の」って意味らしい。地元のおばあちゃんの昔話もあるが、ほぼ全ページに色版画が貼られたりと、少部数ゆえの凝った作りにも感嘆。
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「CONTEMPORARY(ART BOOK)review 005」は、「従来の本の形態に囚われず、存在自体が内容を表す本」のコレクション展示。装丁も好きなワシに刺さる外見と、それに連動した本の中身で、本という形態を持つアイテムと言うのが相応しい感じ。好みはあれど全て面白い。

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普段の大地の芸術祭会期中は混み合い、チョークで落書きされ放題の農舞台内の常設展示空間「教室」も、客のほぼいないこの時期は綺麗なもの。
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雪深過ぎて屋外展示が見られないのは残念だけど、これはこれで楽しい空間だった。
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